ippon blade® 公式ランニング安全基準
ippon blade®を、楽しく安全に、より効果的に活用するために。
ippon bladeは、身体に無理のない使い方を身につけ、動きとバランスを育むためのものです。身体の反応を感じ取り、必要な力を働かせながら過度な力みを減らし、自分の状態や周囲の環境に合わせて動きを調整する。その実践を楽しみながら深めていくことを大切にしています。
無理をして長く使い続けたり、疲労や不調を押して距離を延ばしたりすれば、その分だけ効果が高まるものではありません。
歩く、休む、距離を短くする、終了する。これらも、自分の身体に合わせた適切な使い方です。走行距離や完走だけでなく、無理なく動けること、状況の変化に応じられることを、実践の目安にしてください。
株式会社TENARIは、この目的に沿って、日常のランニングとマラソン大会への出場に関する公式の推奨範囲と安全基準を定めます。
対象範囲:本基準は、ZEN・MIROKUを使用した成人のロードランニングと大会出場を対象とします。
English edition — Official Running Safety Guidelines
制定:2026年10月18日/改訂:2026年10月19日/株式会社TENARI
約10年の実践と、ippon blade発売から約8年の蓄積を踏まえて
開発者TENは、一本歯下駄による約10年の実践を通じて、2017年の奥出雲、2018年の白山白川郷、2022年のとびしま海道で100kmを完走してきました。2017年は、2018年に誕生したippon bladeの開発前の実績です。
ippon bladeの発売以降は、開発・改良、指導、日常の使用、ユーザーによる大会出場など、約8年の経験が積み重なっています。長距離の完走実績とともに、途中で終了した経験や、身体の状態に応じて走り方を変えた経験も、今後の使い方を考える材料です。
こうした実績は、実践者とその条件における記録です。すべてのユーザーに同じ距離を勧めたり、安全性を保証したりするものではありません。100kmを一般ユーザーの標準や到達目標には設定しません。
1.大会出場で選ぶ距離の上限目安
十分な準備を積んだ一般ユーザーが大会に出場する場合、選ぶ種目の距離の上限目安を約20kmとし、ハーフマラソン(21.0975km)までを対象とします。
これは大会の種目を選ぶ際の上限目安であり、日常練習で20km走ることを勧めるものではありません。20kmやハーフを目標・ノルマにする必要はありません。基本技術・体調・製品・走行環境の条件を満たしたうえで、本人に無理のない、より短い種目を選んでください。
| 大会種目の距離・区分 | TENARIの位置づけ |
|---|---|
| ハーフまで 21.0975km以内 |
十分な準備と必要な条件を満たした人の大会選びの範囲です。上限まで走ることを勧めるものではありません。初めての大会は短い種目から選びます。 |
| ハーフ超〜フル 42.195kmまで |
一般ユーザー向けの大会出場の上限目安を超えます。ippon bladeで継続的に走っている熟練者が、準備と中止判断を含めて個別に検討する距離です。 |
| フルを超える距離 ウルトラマラソン等 |
一般ユーザーには推奨しません。専門的な挑戦・実証として区別し、一般向けの到達目標には設定しません。 |
この上限は、大会出場に向けてTENARIが定める運用上の目安です。20kmやハーフを境に安全性が切り替わることを科学的に示した数値ではありません。距離内であっても、身体の状態や条件に応じて短縮・中止してください。
短い距離でも、速く走れば負荷は変わります。坂道、路面、暑さ・寒さ、走行時間、疲労を合わせて判断します。休憩や分割を挟んでも、身体にかかる総負荷は確認してください。
2.走り始める前に身につけること
一般的なランニングの経験が長い人も、ippon bladeでの基本動作は段階的に身につけてください。各モデルの用途・適合サイズ・使用説明に従い、次の動作を安定して行えることを、走り始める条件とします。
- 履き方と鼻緒・紐の調整を理解し、足が大きくずれず、圧迫やしびれがない状態に合わせられる。
- 立つ、歩く、止まる、方向を変える動作ができる。走行中も自分の意思で減速・停止し、歩行へ切り替えられる。
- 歯での接地を保ち、台座の前後端を繰り返し地面へ打ちつけずに移動できる。
- 周囲と足元を確認し、人や障害物との間隔を保てる。傾斜や路面が変われば、速度や歩幅を調整できる。
まずは平坦で見通しがよく、人や車と接触するおそれの少ない場所で練習します。公式の使用説明・レクチャー動画を確認し、動作や調整に不安がある場合は、TENARIまたはランニング指導に対応する公認指導者・公式インストラクターのレッスンで確認してください。
3.日常練習は短時間・短距離から、余裕を残して終える
日常練習に、一律の推奨距離や達成すべき距離は設けません。大会出場の上限目安である約20kmは、普段の練習量を示す数字ではありません。
その日の体調と習熟度に合わせて、短時間・短距離から始めてください。長く走ることより、無理なく身体を使えているかを確かめ、疲れ切る前に、動作と判断に余裕を残して終えることを基本とします。短い練習や歩行だけで終えても構いません。
身体の反応を感じ取り、呼吸、接地、バランスを調整できる余裕を大切にしてください。距離を延ばすことだけを上達の尺度にせず、同じ距離でも無理なく動けること、状況に合わせて走り方を変えられることを確かめます。
歩行から短い走行へ進み、走行中だけでなく、終了後から翌日以降の身体の状態も確認します。時間や距離を増やすのは、必要な場合に段階的に行います。距離・速度・傾斜を一度に増やさず、強い疲労や痛みが残る間は負荷を増やしません。
暑さ・寒さに適した服装、水分・補給、連絡手段と帰路を準備します。滑る路面、凍結、視界不良、交通や混雑などで走行を制御できない場合は、コース変更または中止を選んでください。
本基準は、成人のロードランニングを基本とします。登山・トレイル、競技的な高速走行、未成年者の長距離走には、そのまま当てはめません。
4.毎回、製品と調整状態を確認する
- 台座と歯のひび、欠け、ぐらつきがないか。
- ソールが過度に摩耗していないか、剥がれていないか。
- 鼻緒や紐に損傷や緩みがなく、足に合った調整になっているか。
異常があれば使用を中止し、修理や交換について確認してください。メーカーが認めていない構造変更や応急処置で走行を続けないでください。
モデル、サイズ、調整状態を変えたときは、短い練習から確認し直します。低いモデルであることや、別モデルでの完走経験だけで安全性を判断しません。
5.マラソン大会へ出場する条件
- 大会規約・募集要項:申込み前に大会規約・募集要項を読み、履物・用具に関する禁止事項や参加条件に従ってください。本基準では、主催者への個別の問い合わせや許可取得を一律には求めません。大会規約で事前確認や申請が必要とされる場合は、その手続きに従ってください。
- 本番に対応した準備:本番と同じモデル・調整・携行品で、想定する路面、傾斜、走行時間に対応した練習を積んでください。初めての大会は短い種目から選び、大会前に指導者による走行確認を受けることを推奨します。
- 制限時間への見通し:給水・補給・歩行・休憩を含め、無理な加速をせず制限時間に対応できる見通しを持ってください。関門に間に合わせるために、中止基準を破らないでください。
- 周囲への配慮:スタートや給水所では間隔を取り、急な進路変更や無理な追越しを避けます。主催者・審判・救護担当者の指示に従ってください。
発熱、胸部症状、めまい、体調不良、走行に影響する痛み、強い疲労がある日は、出走を見送ってください。持病、運動中の胸痛・失神歴、健康診断での指摘がある場合は、参加の可否を事前に医師へ相談してください。
6.減速・休憩・終了の判断
痛みがないことだけで、継続を判断しないでください。脚の動き、接地、バランス、呼吸、注意力を確認し、以下の条件を距離や完走より優先します。
余裕が減ってきたら、減速・歩行・休憩へ
呼吸の乱れ、疲労、力みが増え始めたら、減速し、歩行や休憩へ切り替えます。安定した動作と判断力が戻らなければ終了してください。
走行を制御できなくなったら、その日の走行を終了
脚に力が伝わらない、股関節や膝が固まって動かしにくい、接地が繰り返し乱れる、減速・停止が難しい。こうした状態では、その日のippon bladeでの走行を終了してください。
痛みや損傷がある場合は中止
痛み、腫れ、しびれ、皮膚損傷で動作が変わる場合は走行を中止します。症状が続く、または強い場合は、医療機関へ相談してください。
胸部症状や意識の異常がある場合は救護を求める
胸痛・胸部不快感、冷や汗、強い息苦しさ、ふらつき、意識の異常があれば直ちに中止し、救護を求めてください。意識障害や、強い・続く症状がある場合は119番通報してください。
転倒・製品の異常があった場合も終了
転倒した場合は、その日のippon bladeでの走行を終了し、身体と製品を確認します。破損、ぐらつき、ソールの剥がれ等が生じた場合も、走行を中止してください。
終了が必要な状態では、少し休んで楽になったことだけを理由に再出走しません。移動自体が難しい場合は、その場で救護や迎えを依頼してください。
7.ハーフを超える大会出場を検討する方へ
ハーフを超える大会は、一般ユーザー向けの大会出場の上限目安を超えます。検討する熟練者は、ippon bladeでの継続的な練習、ハーフ程度の走行と回復の実績、予定距離に応じた補給・休息・撤退計画をそろえ、コースと制限時間を含めて判断してください。
ランニング指導に対応する公認指導者・公式インストラクターへの事前相談を推奨します。相談や走行確認を受けた場合も、その大会距離が一般ユーザー向けの範囲に変わるわけではありません。
フルの完走を、さらに長い距離へ進む必須段階とは位置づけません。本人が楽しみながら身体の使い方を深められる範囲を選んでください。
8.TENARI主催イベントでの運用
本基準は、TENARIが一般向けのランニングイベントを企画する際にも適用します。一般向け種目はハーフ以内とし、初心者が参加する企画では、参加者の技術と現地条件に応じて距離を短縮します。
主催側は、事前の走行確認、路面・混雑・天候の確認、減速や歩行を選べる進行、中途離脱と帰着の手段、緊急連絡・救護体制を用意します。完走を促すために、参加者の中止判断を妨げません。
ハーフを超える企画は一般向けイベントと区別し、対象者、コース、救護・回収、開催可否の基準を別途定めます。本基準だけで開催や参加を承認するものではありません。
9.安全性・補償と、今後の見直し
本基準は事故や負傷のリスクを減らし、ippon bladeの実践を継続して楽しむためのものです。負傷しないことや完走を保証するものではありません。大会出場の上限目安を超える走行や、本人の状態に見合わない走行には、経験者でも対応できない負荷や、転倒・負傷・体調悪化につながる可能性があります。
大会出場の上限目安を超えたことだけで、すべての補償や責任を一律に除外するものではありません。製品保証、事故時の責任、大会保険等の適用は、それぞれの規約・約款、事故の状況および関係法令に基づいて判断します。
今後は、使用モデル、習熟度、距離と時間、路面・天候、走行中の変化、中止理由、転倒・負傷、終了後の身体の状態などを踏まえ、基準を見直します。
身体の反応を受け取り、自分に合った使い方を選べること。その力を育てながら、ippon bladeで動く楽しさを深めていきましょう。
関連資料
外部資料は一般的な健康管理と救護の参考として掲載しています。ippon bladeや本記事の距離基準に対する認定・推奨を意味するものではありません。