ippon blade開発者TENのコラム
走る際は「無駄に上下動してはいけない」
確かにそうなんですが、
そのように教わると、
身体が上下動しないように、走る際に生じる弾むエネルギーを意識的に抑え込んでしまい、重心が下がってしまいます。
結果、身体の「しなり」や連動がなくなり、力んだままの走り方が身についてしまうランナーが多くいます。
重心が低く、重い身体のままでも、長い距離や速く走れるランナーがいるのは、スニーカーのクッションのおかげです。
クッションの弾性を利用して走っているので、力んだままドタバタとすごい足音で走っている方もいます。
教わったフォームの通りに、
クッションを利用しながら、
前に進もう、走ろうと頑張っているのです。
クッションのおかげで足関節への衝撃や負荷は軽減されているものの、
走る際に生じる衝撃や負荷を、
身体を弾ませるエネルギーに転換して重心を移動させるような、
本来の自然な身体操作は失われて行き、
脊椎の連動性はなくなり、腰や胸郭や首までが固まって行きます。
それに気づかないままに走り込むほどに、
生物としてのしなやかさが失われて行くのです。
ippon bladeが僕達に気づかせてくれるのは、
軸を捉えると身体を抑え込む力が解放され、
弾むエネルギーが活かされるようになると無駄な力みがなくなり、
走る際には「結果的に上下動しなくなる」という事です。
ベースとして、弾めるようなしなやかな身体があり、重心が高く軽くなるからこそ、
足の裏から全身を跳ね上げる際の弾むエネルギーを、
【軽やかな膝の抜き上げ】や【脚の回転の速さ】に転換したり、
シチュエーションに合わせて、接地の衝撃を受け流して走ったり、骨盤の前後傾や重心移動を利用して走ったり、バウンディングで走ったりと様々な技術を応用する事で、
負荷を利用したり分散させたりしながら、疲れが蓄積しないようにラクに走る事も速く走る事も可能になるのです。
人間は、「水」のような性質をもった生き物です。
容器によってカタチが変わります。
スニーカーや、教わったフォームという一つのカタの中に自分をハメて固めてしまうも、
地球のシチュエーションに合わせて、流れるように動作を変え続けるも、
本来は自由なのです。
スニーカーという与えられたシチュエーションや限定的な体験によって、
また、運動やトレーニングに対する与えられた既成概念によって、
そしてその反復運動によって、
自分の身体に対する固定観念が出来上がってしまっているのです。
長い期間スニーカーというカタにハメて走って来たランナーは、不安定なippon bladeで走る事が苦手な方が多いですが、
ippon bladeで「立つ」「歩く」「弾む」「走る」「舞う」のプロセスを感得して行ったランナーは、ベアフットでもスニーカーでも、アスファルトでもトレイルでも砂地でも、
シチュエーションに限定されない、
「遊べるカラダ」「自由なカラダ」を感得して行けるでしょう。
スニーカーも大変便利な優れた履き物ですが、
スニーカーだけに限定しないで、裸足や草鞋や足袋や下駄など、あらゆる体験を味わい、
身体本来の順応力や、動物本来のしなやかさを引き出してあげましょう。